朝日VS読売、世論調査対決


タイトル 朝日 読売
第7ラウンド、安倍内閣発足 2006/09/28 2006/09/28
第6ラウンド、イラク攻撃の支持 2003/03/23 2003/03/25
第5ラウンド、有事法制 2002/05/21 2002/04/05
第4ラウンド、小泉支持率低下 2002/04/22 2002/04/26
第3ラウンド、小泉支持と構造改革 2001/12/26 2001/12/18
第2ラウンド、テロ特別措置法 2001/10/01
2001/10/16
2001/10/23
第1ラウンド、靖国参拝 2001/08/04 2001/08/07



第7ラウンド、安倍内閣発足
 2006年9月28日朝刊の緊急世論調査です。

 自民党阿部内閣発足。NHK事件をでっち上げ、部数を犠牲にしてまで取り組んだ朝日新聞の安倍晋三ネガティブキャンペーン。キャンペーンの効果もむなしく、安倍内閣が誕生してしまいました。内閣発足後の緊急世論調査、いつもにもまして、朝日新聞の懐の深い誘導質問が異彩を放っています。

 読売と朝日とで毎回異なるのは内閣支持率と自民党支持率です。

            読売   朝日
 安倍内閣支持率 70.3%  63%
 自民党支持率  49.4%  39%

 内閣支持率では7%、自民党支持率では10%、読売が朝日を上回ります。このような支持率の差は世論調査の都度確認されています。特に朝日新聞は、NHK等の他の世論調査に比べても常に内閣支持、自民党支持が低い値となっています。この差の原因の手がかりになる情報を紙面から得ることは出来ません。次のような理由によりこのような数値になっていると想像できます。

(1)朝日新聞には思想的な偏りがあるとの世間評価があるため、朝日新聞から世論調査の協力を受けた人のうち、一定数が調査協力を拒否している。このような調査を拒否する人は自民党支持層に多い。
(2)世論調査の依頼の電話を入れ、世論調査の趣旨説明をする際、安倍総理や自民党に対するネガティブな言葉を意図的に入れ、調査に影響を与えている。

 以前は、さすがに(2)はあり得ないだろうと思っていました。しかし、ファッション記事の文末を、脈絡もなく「そういえば、自らの国家や民族に固執する右翼系の若者が世界的に増えているという事実も、多少気になるところだ」と結んでしまう強引さを考慮すると、あながちあり得ない話ではないなと感じる今日この頃です。

 さて、質問の詳細です。読売新聞の質問は上記以外はこれといって論評すべき点はありません。当たり前のことを当たり前に聞いているだけで、これといった工夫も世論誘導の意図もみられない薄っぺらい内容だからです。それにひきかえ、朝日新聞は今後の安倍内閣の行動をにらみつつ、回答者の回答を見事に誘導し、将来の社説のネタを作っています。

<朝日質問>安倍内閣で一番力を入れてほしいことは何ですか。(択一)
 景気・雇用対策 17
 年金・福祉改革 43
 財政再建    15
 憲法改正     2
 教育改革    11
 アジア外交    8
<読売質問>次の9つの課題の中で、安倍内閣に、優先的に取り組んでほしいものがあれば、いくつでも選んでください。
 景気。雇用対策   83.8
 財政の健全化    72.0
 消費税問題     57.1
 年金や医療などの社会保険制度改革 88.8
 所得などの格差問題 56.3
 教育改革      65.1
 靖国神社問題    32.0
 中国や韓国などとのアジア外交   72.8
 憲法改正問題    40.7

 国民が政府に期待する課題に優先度があるのは当然ですが、択一にする意図は何でしょうか。国民は「景気が良くなれば年金改革はどうでもいい」と思っているでしょうか。当然答えは否です。国民は政府に多くのことを同時に求めます。優先順位こそあれ、これだけでいいと言うことはないのです。その意味で、朝日新聞の択一は小選挙区制のように2番目の候補以下の意見が反映されないことになってしまいます。読売新聞のように関心の高いものを複数選ばせる方式の方が、政策に関する関心を正しく反映することが出来ます。

 朝日新聞はこんなことも分からないで、択一にするなんて、馬鹿だな〜。と考えた貴方、貴方は朝日新聞の奥の深さを理解できていません。択一にすることによって、国民生活に直接的に影響力少ない項目の評価は低くなります。その結果、憲法改正は読売では40.7%にもかかわらず、朝日ではわずか2%になっているのです。

 今後安倍首相のリーダーシップの元、憲法改正論議は加速されてゆくことが予想されます。その際、朝日新聞はこの世論調査の結果を引き合いに出し、安倍首相の姿勢に疑問を投げかけることが予想されます。「朝日新聞の世論調査では、憲法改正に力を入れて欲しいという回答はわずか2%しかなかった。景気対策、格差の問題、年金改革等他に重要で国民の関心の高い問題が山積する中、あえて憲法改正を論議を急ぐ必要があるのだろうか」と。朝日新聞社は社説で使える重要なアイテムを得たのです。

 その理屈で行けば、「アジア外交」はわずか8%で国民の92%が関心なしと言えます。もちろん、朝日新聞はそのままですませたりしません。「アジア外交」については別に質問を設け、世論の誘導すること怠っていません。

<朝日質問>安倍首相に中国や韓国との外交改善に積極的に取り組んで欲しいと思いますか。
 積極的に取り組んで欲しい 83
 そうは思わない      10

 最も重要な政策としてはわずか8%の関心しか得られなかったアジア外交、しかし、社説等に引用する際には、この質問の回答により、「世論調査では83%の回答者が中国、韓国との外交改善を望んでいる」と書くことが出来ます。「改善に積極的に取り組んで欲しいか」と聞かれれば。誰だって「積極的に取り組んで欲しい」と答えます。「改善」とはその言葉自体がまさに「善」の響きなのであり、「善」を含む言葉に反対する明確な意志を持つ回答者が少ないことを利用した見事な誘導質問です。

<朝日質問>教育基本法の改正はどのようにするのが一番いいと思いますか。(択一)
 今の国会で成立を目指すべきだ       21
 今の国会にこだわらず、論議を続けるべきだ 66
 改正する必要はない             6

 前のアジア外交に関する質問と比べてもらえば一目瞭然だと思います。教育基本法の改正に対しては、朝日新聞は反対をしています。そのため、世論が賛成のごとき数字は意地でも紙面に載せるわけにはいきません。そのため、「賛成ですか」とか「積極的に取り組んで欲しいですか」といった質問はナンセンスです。そんなことすると、80%の回答者が賛成に回ってしまいます。そのため、「どのようにするのが一番良いか」という、賛成反対という二元的な答えにならない形で問いかけています。景気対策等他の政策に比べて緊急性の低い課題です。そのため、あえて今国会にこだわる必要はありません。選択肢を「今の国会で成立を目指すべきだ」と、今国会にあえてこだわっているという拙速な印象を与え、「今の国会にこだわらず、論議を続けるべきだ」という当たり前の結論に回答者の回答が誘導されるように設計されています。

 そして、教育基本法の改正についての論議が高まったときに、「世論調査では、今国会での教育基本法改正が必要と答えたのはわずか2割で、大半の国民は今の国会にこだわらず、論議を続けるべきだと考えている。安倍首相が教育基本法改正を今国会に求めているのは国民の声から乖離しており、拙速というほかない」と社説で批判的に書けるわけです。

 さらに、安倍首相に対するネガティブな印象を植え付けるための誘導質問は続きます。

<朝日質問>先の戦争について、安倍首相は自らの歴史認識を示していません。こうした姿勢を評価しますか。
 評価する  24
 評価しない 52

 この質問は全段が否定的内容、後段でその内容を評価の有無の二者択一で答える形になっています。質問文が回答に影響を与える、通常の世論調査としては典型的な悪い質問パターンです。「示していません」という否定形に対しての評価ですから、大多数の人が否定的に回答するよう誘導されます。実際過半数の回答者が否定的な回答となっています。

 今回も朝日新聞は世論を誘導し、作り上げる奥の深い質問方法を提示してくれました。対して読売新聞は今回も底の浅い当たり前の質問項目を並べただけでした。読売新聞には、朝日新聞を見習って、世論を作り出せる魅力的な新聞になるよう努力してもらいたいと思います。
朝日新聞2006/9/28朝刊(左) 読売新聞2006/9/28朝刊(右)

第6ラウンド、イラク攻撃の支持
コラム、朝日新聞に倣え、読売新聞の世論操作社説
すばらしい世論調査といえば、2年前の朝日新聞が行った、靖国参拝についての設問を思い出します。

■朝日(2001年8月4日朝刊)
◆小泉首相は、終戦記念日の8月15日に靖国神社へ参拝すると言っています。あなたは、小泉首相が靖国神社参拝に積極的に取り組んで欲しいと思いますか。それとも、慎重にした方がよいと思いますか。
 積極的に取り組んで欲しい  26%
 慎重にした方がよい     65%
 その他、答えない       9%

靖国参拝反対派を多く見せるためのあまりにも恣意的な選択肢は、朝日による世論誘導の金字塔としていまなお語り継がれています。賛成・反対で問わないで「積極的に取り組んで欲しい」と「慎重にした方がよい」で分け、消極的賛成派を「慎重にした方がよい」に封じ込めました。その上で、「65%が靖国参拝に反対」との見出しを掲げ、消極的賛成派も反対派に数え、反対派が多数派であるかのような調査結果を作り上げることに成功しました。

米軍のイラク攻撃が始まり、太平洋で核実験によって汚してきたフランスが平和国家のごとく振る舞っています。軍隊も金も出したくはないが、イラクでの石油利権を米英に奪われたくないという下心を持つフランスの強硬な攻撃反対論によって国連は分裂。そして世界各国に平和的解決を願う世論が広まっていることはご存じの通りです。

そして、思考停止的反戦平和論を扇動する朝日新聞としては、今回は特に質問内容に小細工をすることなく世論調査を行い、その結果を公表することができます。靖国参拝反対の世論扇動の時とは異なり、普通に賛否を問えば、朝日の反戦論調に沿った答えが返ってくることが分かり切っているのです。

●朝日世論調査設問(3月23日朝刊)
◆小泉内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 42
 支持しない 45
 その他・答えない 13
◆イラク戦争について伺います。アメリカなどは、イラクへの攻撃に踏み切りました。今回のアメリカの行動を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 31
 支持しない 59
 その他・答えない 10
◆小泉首相は、アメリカへの支持を表明しました。首相の支持表明に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 39
 反対 50
 その他・答えない 11

「支持・不支持」、「賛成・反対」で意見を聞く、ごく普通の世論調査になっています。欧州のように反戦派が圧倒しない点は物足りない部分もあるでしょう。朝日新聞にとって特に残念だったことは、首相の支持表明への賛成意見が約4割に上ってしまったことでしょう。戦争反対派の意見がそのまま首相不支持に結びつかなかった点は、朝日の社説による世論誘導の試みに限界があったことを示しています。

●読売新聞世論調査(3月25日朝刊)
◆あなたは、小泉内閣を支持しますか、支持しませんか。
 支持する 49.0
 支持しない 39.6
 その他 3.3
 答えない 8.1
◆あなたは、日本政府がイラク問題でアメリカを支持していることについて、当然だと思いますか、やむ得ないと思いますか、それとも、納得できないと思いますか。
 当然だ 12.1
 やむ得ない 83.8
 納得できない 22.3
 答えない 1.8

今回は読売の世論調査に興味深い工夫が見られました。朝日に比べれ内閣支持率が5%以上高く不支持率が5%以上低いのは、毎度のことです。このような偏りは調査方法の違いや、「**新聞の世論調査」と告げられて協力する標本集団の偏りに起因すると推測されます。

さて、興味深いのは読売の設問、選択肢です。読売は日本政府の米国支持について、支持・不支持で問うことなく、「当然だ」、「やむ得ない」、「納得できない」で問うているのです。普段の読売の米国追従姿勢に沿った答えを得るために見事な設問を考え出したと言えるでしょう。政府の態度に対する賛否ではなく、感想を問うています。そして、賛成はしないけど仕方ないなぁ、などという典型的日本人の日和見的無責任世論を見事にくみ上げることに成功しています。調査の対象者はかならずどれかの選択肢にはまるという点で、選択肢に無理があるわけではありません。その点は、無理な選択肢に意見を押し込めた朝日の靖国世論調査の時とは違います。しかし、他社にない視点で世論調査を行った創意工夫は賞賛されるべきでしょう。

■読売(3月25日朝刊)
●(1面)イラク戦争 政府の米支持 「当然」「やむなし」76%
●(社説)イラク戦対応 「正しい決断」と評価した世論

普段のアメリカの犬となって対米追従を唱える社論に沿った答えを引き出した読売、さすがに大はしゃぎです。一面の『「当然」「やむなし」76%』との表現は正しい表現です。しかし、「『正しい』決断と評価した世論」と題した社説は、中立派を反対派のごとく見出しを付けた朝日の靖国参拝調査記事と同じく結果の歪曲といえるでしょう。「やむなし」は広義では「正しい」に含めることができます。しかし、ニュアンス的には「正しい」よりも遙かに弱いものです。その「やむなし」が63%を占めているのです。仮に「政府決断に理解を示した世論」とすれば、それは世論調査をより正確に反映したタイトルと言えます。社説の内容も推して知るべしで、今回の世論調査の結果が積極的支持であるがごきの前提で書かれています。これだけ、持ち上げれば首相官邸で小泉首相もご満悦でしょう。

自社の意見を正当化するために、世論調査の内容を微妙に歪曲して社説にする読売。世論調査の結果歪曲が朝日の専売特許でないことを見せつけてくれました。次は朝日を見習って、結果を誘導する設問文や無理な選択肢による回答の誘導にチャレンジしてほしいと思います。世論操作はマスコミの専売特許なのですから。
朝日新聞 2003/03/23
読売新聞 2003/03/25


第5ラウンド、有事法制
コラム、負ける勝負はしない、有事法制世論調査
有事法制についてのアンケートです。

・読売(4月5日朝刊16面)
外国から武力攻撃を受けた場合に備え、一時的に国民の権利を制限しても、出動した自衛隊が、支障なく活動できるようにするための法律を整備するべきという意見があります。あなたは、この意見に、賛成ですか、反対ですか。
 賛成 47.6%
 反対 21.1%
 どちらとも言えない 27.9%
 答えない 4.4%

4月5日の時点で読売はアンケートを実施しており、その際、アンケート回答者の50%近くが賛成をし、反対は20%となっていました。中身はともかく有事に備えると言うことについての国民のコンセンサスはできつつあります。

このような有事法制に対する国民のコンセンサスをどのように隠し、有事法制が欠陥だらけであることを読者に示すことができるのか。有事法制の賛成者はあくまで少数派であり、賛成派は右翼やタカ派といった少数の悪役に仕立てなければ鳴りません。社説・解説で有事法制反対を盛り上げているところです。そのために、朝日が編み出したのが今回の設問です。
・朝日(5月21日朝刊14版、4面)
今回の国会で、武力攻撃事態法案など有事3法案が審議されています。こうした有事3法案の内容をどの程度知っていますか(択一)
 よく知っている 2
 ある程度は知っている 34
 あまり知らない 51
 全く知らない 13
 その他・答えない 0

小泉内閣は有事3法案を今の国会で成立させたい考えです。あなたは、小泉内閣が、国会で法案の内容をどの程度説明していると思いますか。
 十分説明 1
 ある程度説明 23
 あまり説明していない 62
 全く説明していない 9
 その他・答えない 5

今回の回答率はいつもより数%低く、54%です。今回の朝日の世論調査のすばらしい点は、「賛成」、「反対」の世論調査を避けたことでしょう。「有事法制成立に賛成ですか、反対ですか」などと聞いてしまっては賛成派が50%近くになってしまい、反対論調を推し進める朝日の面目丸つぶれです。負ける勝負はしない。勝つための鉄則を朝日は心得ています。

最初の質問は内容に関する知識を問うています。「どの程度知ってますか」。なるほど、6割以上の人がよく知らないと言うずさんな状況をよく表しています。これなら有事法制反対派を勢いづかせることができるでしょう。しかし、よく考えてみて下さい。今回審議されているのは法律です。みなさんは、過去審議され可決された法律について、中身をよく知っている、あるいはある程度知っていると答えることができたものがどれほどあるでしょうか?法律とは読むことすらも難しいものであり、知っていると答えることのできる人は弁護士か起草者ぐらいのものです。それを一般の人々に問うているのですから、「よく知らない」と言う回答が返ってくるのは当然のことです。そのことを見据えた上で朝日はこの質問を準備しているのです。

次の質問で小泉内閣の法案説明に的を絞っています。これもユニークな質問です。国会では毎日質疑応答が繰り返されています。また、法案は質疑応答はもとより内容も公開されており、プロセス自身は非常にオープンに進められています。しかし、そんなものを細かく追っているのは新聞記者ぐらいであり、一般の国民はそんなことに注意を払ってはいません。そのため、この質問の回答は、実際の質疑や国会のプロセスに影響されず、むしろ小泉内閣への信任・不信任によって大きく影響されるようになっています。

そこでこの質問に大きく影響してくるのが直前になされている質問です。有事法制の質問の前には5つの質問があります。議員辞職をめぐる問題についてであり、文章も読者にバイアスを与えるよう工夫されています。

・政治とカネの問題で議員の辞職が相次ぎ、政治不信が高まっています。あなたは、こうした議員の辞職に、テレビのワイドショーがどの程度影響していると思いますか。
・政治不信が高まっているのは、国会にどんな点がもっとも原因あると思いますか。
・政治不信をなくすために、小泉首相はどの程度指導力を発揮していると思いますか。
 大いに発揮 1
 ある程度発揮 22
 あまり発揮していない 59
 全く発揮していない 16
 その他・答えない 2

そもそも「政治不信」と言う語自体が、回答者の政治への不信感を煽る働きがあります。最初の質問で「政治不信が高まっています」と断言しています。この段階で、そう思っていなかった回答者も、「政治不信が高まっているんだ」と教化されることになります。バイアスを与えない質問のためには、「政治とカネの問題で議員の辞職が相次いでいます」で止めるべきです。これでも文意は全く狂いません。解決されない問題の存在を前提にして、小泉首相の手腕を問います。解決されてない問題を前提にするため、ネガティブな回答が70%以上になります。ここのトリックは、この質問の回答者がそのまま、有事法案の国会説明の回答に流されてしまっていることです。先に述べたとおり、有事法制の2番目の質問事項は、回答者が内閣へのイメージで回答してしまう設問になっています。そのため、これら政治不信の質問で不信を確認あるいは教化された回答者が、そのままの評価を有事法制説明の評価にしてしまうことになります。実際、今回の質問で、小泉内閣の政治不信払拭への努力と有事法制の質問の回答の分布が似た形になっていることが認識できるでしょう。

現在は有事法制について、世論の50%が賛成しています。しかし、朝日の世論調査によって、有事法制反対派の方々も自分たちが多数派であるという強い錯覚を得たことでしょう。朝日のこのような地道な努力によって、国民は有事法制に不安を抱き、最終的には反対派が賛成派を上回る時がくると思います。世論とは調べる物ではなく、作り出すものなのです。
朝日新聞 2002/05/21
読売新聞 2002/04/05


第4ラウンド、小泉支持率低下
コラム、創意工夫の朝日世論調査
4月22日朝刊、朝日新聞の世論調査、今回も56%という低い回答率です。朝日新聞と聞いただけで電話を切ってしまう人もいるのかもしれません。とりあえず、朝日新聞の世論調査だと告げられて回答した、2人に1人の割合の奇特な人たちの調査結果が、今回も世の中すべての意見のごとく掲載されました。

なお、今回の調査結果は16日の朝刊の一面も飾っています。そして22日も一面記事。一粒で2度おいしいとはこのことでしょう。そして22日だけに質問と回答が掲載されています。どうして、16日の段階ですべてを記事にしなかったのか。さすがにお人好しの私も少しおかしいなと思いました。しかし、22日の解説をみて、この1週間朝日新聞がどのような創意工夫をしていたのかが理解できました。キーワードは「小泉離れ層」です。このキーワードを使うことによって自民党から民意が離れているという美しいストーリーができあがるのです。

おっと、この世論調査特集には、朝日新聞の名物記者、永島学君も参加しています。担当者として名前が出ています。池袋の駅前で知らない女子大生の尻をなぜて警察に突き出された変態記者です。

・朝日(22日朝刊1面左上大きく、図入り)
「内閣発足一年 『政権あと1年』4割 『小泉離れ』層 限界見抜く?」
「小泉氏についていつまで首相を続けてほしいかは、『1年より長く』24%、『1年程度』42%、『続けてほしくない』26%。全体でも『1年』と『続けてほしくない』で49%を占めた。」

この質問に対応するアンケートは次の通りです。
・小泉さんに今後、どのくらいの間、首相を続けてほしいと思いますか。(択一)
 1年より長く 43%
 1年程度 32%
 続けて欲しくない 17%
 その他・答えたくない 8%

ここまでするのが朝日新聞です。アンケートの「質問と回答」までチェックしないととても解説記事が信用できないことが分かるでしょう。普通の人は「質問と回答」までチェックしないので一面の数字を鵜呑みにしたことでしょう。小泉離れ層とは以前小泉首相を支持してたけど今は支持しない人々で、アンケート回答者全体の26%になります。要は、現在の「不支持」層です。不支持の人間が小泉首相にネガティブな回答をするのは当然です。しかし、一面の見出しには26%の回答者による「政権あと1年、4割」との回答が大見出しで踊っていおり、読者は中ほどの8ページまで読み進まなければ、全回答者の4割が1年以上と言っていることを知ることができません。

また、今回は通信簿という新兵器を繰り出しました。

・この1年間をみて、小泉内閣の通信簿を10段階でつけるとしたら、最低の1から、最高の10段階までのうち、どれをつけますか。
 @ 3
 A 6
 B 16
 C 16
 D 25
 E 19
 F 10
 G 2
 H 0
 I 0

これもすごい質問だと思います。通常アンケートでは何について質問するか明確にしなければいけません。回答者が混乱したり、バラバラの判断で回答することを防ぐためです。何について評価するかを明示されない回答は、前の設問回答に大きく影響されてしまいますし、あるいは本能的な当たり障りのない回答になってしまいます。そもそも評価基準が明示されない評価の調査など意味がありません。この質問はもののみごとに評価基準が明示されず「通信簿を10段階でつけるとしたら」とだけ言われているのです。回答者は多少戸惑いながらも、先生になった気持ちで間抜けな生徒を採点するがごとく、前の質問・回答に大きく影響されつつ、適当な番号を選んだことでしょう。

また、1面に小見出しにも工夫があります。

「嫌いな党、自民首位」

しかし、記事の内容は次の通りです。

「小泉政権の誕生で歯止めがかかっていた「自民離れ」が、「小泉離れ」と共に再び進行していることもはっきりした。 「支持したくない政党」は、全体では(1)共産22%(2)自民19%(3)公明11%の順。「小泉離れ」層になると、「自民嫌い」は28%に跳ね上がる。自民党の支持率も昨年9月の41%から26%に大きく下がった。 」

全体では共産党が首位です。それが26%の人間の中で見ると自民が首位です。100%の回答者では共産党が首位です。共産党が嫌われていることを隠し、自民の嫌われぶりをことさら強調するためになされた工夫を感じ取ることができるでしょう。
また、朝日新聞待望の下野論を打つための下準備。政界再編についての質問も一工夫ありました。

・これからの政治を考えるとき、自民党が今のまま政権に居続けるのがよいと思いますか。自民党が割れるなど野党も含めた政界再編が望ましいと思いますか。
 居続けるのがよい 12
 政界再編が望ましい 75
 その他・答えない 13

「これからの政治を考えるとき」という言葉はバイアスとして働いています。この言葉には現状の改善・否定のニュアンスがあります。改善する必要があるから考えるのであって、する必要がなければ考える必要もないでしょう。つまりこの言葉によって、なにも考えてなかった回答者も、なにかを変える必要性を鼓舞されるのです。そして、この2者択一。なぜ、「続ける」と言わずに「居続ける」としたのでしょうか。「居」をつけることにより、場所を占拠している、しがみついているというイメージを出すことができます。「居座る」、「居残る」、「居直る」、「居眠り」等、「居」という漢字はネガティブな訓読み熟語によく使います。また、選択肢も明確でありません。「自民党が割れるなど野党も含めた政界再編」とはなんでしょうか。「自民党が割れるなど」と、「など」なる言葉が入っています。この「政界再編」の内容は回答者によって全く違ったビジョンになります。自民党が保守党と連立したり、公明党を連立から押し出されるといったことまで含まれてしまいます。非常にカバーしている範囲が広いため回答率が高くなったと考えるべきでしょう。

「現在の自民党中心の政権が今後も続くべきだと思いますか、自民党でない新しい政権が取って代わるべきだと思いますか」とするほうが、設問として、簡潔でよいでしょう。イメージのばらつきのない回答が得られます。しかし、これでは、「自民党もだめだけど、自民党に取って代わって欲しい政権もないな」という、回答者の現実的な思考を呼び覚ましてしまいます。そして、政権交代への割合が極端に下がってしまいます。もちろん朝日新聞のアンケート作成者はそのことを理解した上でこのアンケートの設問を作っています。マスコミの使命がマッチポンプであることを理解し、安定よりも変化をもとめ、不安を駆り立てているのです。読者の新聞を読みたいという意欲を高めるためには、不安の少ない回答などじゃまなだけなのです。

さて、朝日新聞のアンケートを見て、朝日のアンケートのすばらしさをみなさんも再認識したと思います。しかし、朝日新聞のアンケートは集めた回答だけにあるのではありません。実施しない質問にも大きな意味があります。読売では学校の週5日制や改憲についてのアンケートを今年になって行っています。

読売のアンケート
・この4月から、全国の小・中学校と高校では、公立の学校を中心に、毎週土曜日が休みとなる『完全学校週5日制』がスタートします。あなたは、このことに、賛成ですか、反対ですか。(3月20日)
 賛成 18.1%
 どちらかといえば賛成 17.4%
 どちらかといえば反対 28.6%
 反対 30.9%
 答えない 5.0%

・あなたは、今憲法を、改正する法がよいと思いますか、改正しない法がよいと思いますか。(4月5日)
 改正する法がよい 56.9%
 改正しない法がよい 29.3%
 答えない 13.8%

・外国から武力攻撃を受けた場合に備え、一時的に国民の権利を制限しても、出動した自衛隊が、支障なく活動できるようにするための法律を整備するべきという意見があります。あなたは、この意見に、賛成ですか、反対ですか。(4月5日)
 賛成 47.6%
 反対 21.1%
 どちらとも言えない 27.9%
 答えない 4.4%

このアンケートをみると朝日新聞が日教組の連中に気を使って美化キャンペーンを張っていた「学校週5日制」は6割が反対で賛成の倍近くになっていることがわかります。また、また、朝日が金科玉条にあがめている憲法についても憲法改正賛成者が6割、有事法制賛成者も5割で反対者は2割しかいないことが分かります。この様な事実は日教組の教師やら洗脳した反戦運動プロ市民に見せるわけにはいきません。反戦平和は国民の圧倒的な支持を受けていることになっていなければならないのです。

負ける勝負は一切しない。勝てる土俵で設問を工夫し、回答データをこねくり回してさらに、自社のストーリーに沿った見出し・解説を作り上げる朝日新聞。洗脳された読者の期待を裏切るようなことはしません。小泉下野論は目の前です。

コラム、朝日世論調査にみる小泉内閣のけなし方
4月26日朝刊に読売新聞も小泉内閣についてのアンケートがでました。朝日とはやはりかなり違ったデーターとなっています。

・朝日:電話調査、有効回答率56%
・読売:戸別訪問面接聴取法、有効回答率64.1%

朝日は楽をして電話ですましています。そのため、有効回答率の10%程度の低さは調査法にも影響されていると考えられます。また、朝日は「質問文は一部省略」となっており、質問文自身に100%信頼が置けないことはいつもの通りです。実際省略された質問文が回答者にどのような影響を与えているのかは分かりません。たとえば、「小泉内閣を支持しますか」の質問の前に、「小泉内閣の支持率が急激に落ちていますが、・・・」といった回答に大きな影響を与える文章を付加していないと言い切ることができません。

・朝日
・小泉内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 42
 支持しない 40
 その他・答えない 18

・読売
・あなたは、小泉内閣を支持しますか、支持しませんか。
 支持する 47.9
 支持しない 40.9
 その他 4.0
 答えない 7.2

毎回のことですが、朝日の調査は読売の調査より5%程度支持者が少なくなっています。これは世論調査の設問作りの基本である、相手への呼びかけ調に、先頭に「あなたは、」をつけないこと、読売の調査が面接のためイエステンデンシーがより強く出ていることが理由と考えられます。

・朝日
・あなたはいま、どの政党を支持していますか。
 自民党 26     民主党 8
 公明党 2      自由党 1
 共産党 4      社民党 4
 保守党 0      その他の政党 1
 支持政党無し 49 答えない・分からない 5
・あなたが、支持したくない政党があれば、一つだけあげてください。
 自民党 19     民主党 3
 公明党 11     自由党 1
 共産党 22     社民党 5
 保守党 1      その他の政党 1
 特に無し 33    答えない・分からない 5

・読売
・いま、あなたは、どの政党を支持していますか。一つだけあげて下さい。
 自民党 30.5   民主党 6.8 
 公明党 1.9    共産党 2.8
 社民党 2.7    保守党 0.2
 無所属の会 0.3 自由連合 0.2
 その他の政党 -  支持政党無し 51.9
 答えない 0.7
・逆に、支持したくない政党、嫌いな政党があれば、次の中からいくつでもあげて下さい。
 自民党 14.5   民主党 4.7
 公明党 19.1   自由党 2.9
 共産党 25.5   社民党 10.5
 保守党 4.1    無所属の会 1.3
 自由連合 1.5   その他の政党 -
 特に無い 42.7  答えない 1.4

政党支持調査でも朝日は読売に較べて支持者が5%少なく、不支持者が5%多くなっています。これはアンケートの配置によるトリックです。読売は質問前のバイアスが少ない最初の段階で政党支持を確認しています。そのため、回答者は質問前の白紙の状態で自分の考えを答えることができます。しかし、朝日は全質問の最後の部分でこれらの質問をしています。政党支持の質問の前に、「責任を問われた武部さんを職にとどめた...」、「政治と金の問題が相次いだが、小泉首相の姿勢は...」、「通信簿をつけるとしたら」といった小泉首相へのネガティブな面が強調された質問をさんざん答えさせられ、その上で政党支持の質問となっています。つまり、朝日の政党支持率は世間一般の政党支持率を表す物ではなく、「小泉首相に対するネガティブな質問をたくさん答えた人が、質問文のバイアスを受けた状態」での支持率となっています。

・朝日
・これからの政治を考えるとき、自民党が今のまま政権に居続けるのがよいと思いますか。自民党が割れるなど野党も含めた政界再編が望ましいと思いますか。
 居続けるのがよい 12
 政界再編が望ましい 75
 その他・答えない 13

・読売
・あなたは、現在の自民、公明、保守の3党による連立政権が、今後も続いてほしいと思いますか、そうは思いませんか。
 そう思う 24.8
 そうは思わない 44.3
 どちらとも言えない 27.3
 答えない 3.6
・あなたは、現在の野党には、政権を担当する能力があると思いますか、ないと思いますか。
 ある 15.8
 ない 75.1
 答えない 9.1

政権についての現状肯定派は読売が朝日の2倍になっています。これは、朝日の誘導質問の成果です。朝日と読売の質問文を較べると、実は聞きたいことは大差がないことが分かります。ところが朝日は「これからの政治を考えるとき」ということばで現状に問題があることを暗示し、「居続ける」という言葉で続けることにネガティブな印象を植えつけ、「政界再編」という中身が暗示されない回答者がいかようにでも結果を想定できる曖昧なキーワードで締めくくっています。対して、読売の質問では、続くか続かないかという非常にシンプルで曖昧性のない質問のため、そのあとのビジョンが回答者に浮かんでしまいます。続かないということは野党が政権を取ることなので、「どちらとも言えない」という回答が非常に多くなっています。

読売では、野党に対する質問もしています。野党の政権担当能力には75%が否定的です。もちろんこのような情報は朝日には載りません。朝日は、自民を悪に仕立てた勧善懲悪のストーリーをまず組み立て、読者に政権批判、政治家批判の心地よさを味あわせることに的を絞っています。読者の欲している物は、あれもだめ、これもだめという複雑な情報を作り出すと、物事を単調に決め付けたがっている曖昧性を許容できない読者たちを混乱させてしまいますから。

朝日と読売の質問・データを較べると、あらためて朝日のわかりやすさ、読者好みのストーリー作りが認識できます。うそでもいいから小泉内閣が悪いというデータ、解説に接したい人は朝日新聞を購読しましょう。
朝日新聞、2002年04月22日
読売新聞、2002年04月26日


第3ラウンド、小泉支持と構造改革
コラム1、なぜ低い?朝日世論調査の小泉支持率
年末の世論調査について、両紙を比較したいと思います。朝日は12月26日朝刊、読売は18日朝刊に掲載されています。

まず、毎回他紙よりも低ポイントを出す朝日の内閣支持率調査について考えたいと思います。

・読売
あなたは、小泉内閣を支持しますか、支持しませんか。
 支持する    76.3%
 支持しない   15.1%
 その他      2.2%
 答えない     6.4%

・朝日
小泉内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する     72%
 支持しない    17%
 その他・答えない 11%

非情にシンプルな質問です。期待通り朝日の調査は読売より4.3%低い支持率となっています。このトリックは「あなたは」という問いかけにあります。「あなたは」と問いかけることにより回答者は質問者に親しみを感じ、調査へ前向きに協力しようと言う姿勢を生じさせる効果があります。また、世間一般の認識ではなく、あなたはどう考えるかというように、質問の対象を明確化することにより回答者のフラストレーションを下げる働きもあります。そのため、社会調査で設計される質問には、「あなたは」といった、質問者への問いかけを入れることが通例です。この問いかけがないと、特に電話調査のように一質問あたりの時間が制約され、回答者が見直すことができない状態では、回答者のフラストレーションが強くなり、ネガティブな回答あるいは回答保留と言った態度が増えます。実際朝日の世論調査では「その他・答えない」との回答が3%程度高くなっています。もちろん、この「あなたは」という質問者への問いかけは、調査をひっくり返すような大きな影響を与えるものではありません。今回の調査を見ても分かるように小さく出てきます。しかし、小さいながらも確実にその効果はでてくるのです。なお、朝日はすべての質問で質問者への問いかけを省略しているわけではありません。質問によりけりで、実施する時期により同じ質問でも「あなたは」をつけたりしています。ただし、小泉首相支持率については一貫してこの呼びかけをつけない形で行っています。読売はもちろんバカ丁寧にすべての質問に「あなたは」と言う呼びかけを入れています。

ただし、朝日の世論調査の括弧書きの回答部分にも注意しなければいけません。毎回次のような言葉が入っています。

・朝日
「質問文は一部省略」

この一文は、非常に大きな意味を持ちます。質問内容を正確に把握してはじめて、調査結果の妥当性が判断できます。世論調査の結果など質問の文面や質問の順序でいかほどにでも変わります。たとえば、「小泉首相は離婚経験があります。あなたは小泉内閣を支持しますか、支持しませんか」と問えば、支持率は低くなります。「小泉首相は離婚経験があります」を省略されては調査の妥当性が検証できません。質問文すべてが回答に影響を与えるのです。

そもそも質問文は回答者に回答しやすく誤解がないように簡潔、明瞭そしてわかりやすく回答に影響を与えない言葉を使って設計されるべきものです。省略できる部分など本来はあってはならないのです。省略できるとすれば、その質問そのものに問題があったと言うことになります。「質問文は一部省略」との一文は、朝日新聞による調査結果改竄宣言と同じことを意味します。

自衛隊には情報公開を求めても、自社は情報を隠蔽する。読者洗脳と洗脳読者に心地よい調査結果を生み出そうとする、朝日の努力がしのばれます。

コラム2、小泉構造改革についての誘導質問
構造改革についての世論調査です。

・読売
景気対策と構造改革の進め方について、次の2つの意見がありますが、あたなの考えに近い方を、1つだけあげて下さい。
 景気が悪化しているので、構造改革より景気対策の方に重点を置くべきだ 50.9%
 構造改革は景気回復につながるので、構造改革の方に重点を置くべきだ  42.5%
 その他  0.8%
 答えない 5.8%

あなたは、小泉首相は、自ら主張している改革を実現できると思いますか、実現できないと思いますか。
 かなり実現できると思う  13.1%
 多少は実現できると思う  53.5%
 あまり実現できないと思う 24.2%
 全く実現できない      5.8%
 答えない          3.3%

教科書に従って、一見公正っぽい調査を行っている読売です。創意工夫のない読売らしい質問です。

・朝日
政府は、財政再建の一つとして、対年度予算で公共事業を10%減らす方針を打ち出しました。財政再建のために公共事業を減らすべきだと思いますか。景気や雇用対策を考えると、公共事業を減らすべきではないと思いますか。
 減らすべきだ    52%
 減らすべきではない 37%
 その他・答えない  11%

政府は大手銀行の不良債権を2年以内に最終処理することで、失業者が増えるといっています。失業者が増えても、不良債権の最終処理を進めることに賛成ですか、反対ですか。
 賛成        43%
 反対        46%
 その他・答えない  11%

この2つの質問の文面は対照的です。両質問とももとめたい回答に回答者を誘導する、誘導設問の手法が見られます。前者は「公共事業削減」の犠牲として「雇用対策」を言い、後者は「不良債権処理」の犠牲として「失業者」を引き合いに出しています。言葉の響きとしては「雇用対策」はポジティブなものであり、「失業者」ネガティブなものです。しかし、その意味するところは非常に似ています。ふだんから公共事業は政治家や役人の既得権益だとしてネガティブな論調を繰り返す朝日としてはこの部分で、反公共事業的なデータが欲しかったものと思います。そのため、「雇用対策」というインパクトが少なく前向きな言葉を用いたのでしょう。逆に銀行の不良債権処理は弱者切り捨てないで、銀行自身で何とかしろと言う無責任な論調をしていた朝日としては、「失業者が増える」というネガティブなインパクトのある言葉を用い、反対意見が多くなるよう工夫したようにとれます。これら2つの質問で前者を「失業者増大」、後者を「雇用対策」にして質問した場合、答えは若干異なってくるでしょう。また、不良債権処理の設問については、ネガティブな側面が強調され、不良債権処理によるポジティブな側面が書かれていません。

・朝日
小泉首相が掲げる構造改革は、どの程度進んでいると思いますか。
 大いに進んでいる   2%
 ある程度進んでいる 33%
 あまり進んでいない 57%
 その他・答えない   2%

「公共事業」、「不良債権処理」の設問で、回答者には政府にたいして、ネガティブな印象を植えつけられています。構造改革すすみ具合の質問にたどり着いたときには、頭の中に失業者増大といった言葉が頭に植えつけられています。回答者は、一般に肯定的な回答をしてしまうものですが、ここに至ってそのようなイエステンデンシーは消え失せています。かくして構造改革に否定的回答が6割となります。

・朝日
ふだんの生活で、景気が悪くなったと感じますか。とくに感じませんか。
 悪くなった     75%
 特に感じない    24%
 その他・答えない   1%

あたなやあなたの家族が今後、仕事を失ったり、収入が大幅に減ったりする不安を、どの程度感じますか。
 大いに感じる    48%
 ある程度感じる   43%
 感じていない     8%
 その他・答えない   1%

とどめは、すでに世の中が悪くなっている前提でする誘導質問です。質問自身が回答者に不安を植えつける質問で、将来への不安を誘導します。

調査で「世の中良くなった」、「政府はよくやってる」なんてのは記事にしても面白くありません。景気が悪い、将来に不安があると感じるからこそ、不安に煽られて、「政府が悪い」と感情的になれるのです。そして朝日の政府批判記事を気持ちよく読めるのです。

悪い世の中−世論調査の悪い結果−ますます世の中を悪く感じる。世論と読者の感情を作り出す、朝日の創意工夫のある世論調査でした。
朝日新聞、2001年12月26日
読売新聞、2001年12月18日


第2ラウンド、テロ特別措置法
コラム1、アンケートによる世論創出法

10月1日、朝日のアンケートです。あまりにも興味深い質問方法なので、すべて掲載します。なお、読売のアンケートも先週ありましたが、アンケート実施という点において特記事項が無く、つまらないものでした。

いつもながら、他紙とは異なったアンケート結果を生み出す朝日新聞。自社の主張に沿った答えを引き出し、洗脳した読者を安心させる結果はどのように生み出されているのか見てみたいと思います。「世論調査では質問の仕方によって結果を左右することが可能である。したがて「世論調査によって世論を作ることも可能」とさえ言われている」(浅井晃著「調査の技法」)。改めて読むと朝日の調査の質問項目は、世論を作り出す、すばらしいものだと気づきます。

Q1 小泉内閣を支持しますか。支持しませんか。
Q2 どういうわけでそう思いますか。
・首相が小泉さん 16
・自民党の首相 6
・政策の面 28
・連立政権のあり方 6
・なんとなく 12
・その他・答えない 2
Q3 小泉内閣のよいところ、わるいところについて伺います。
Q4 あなたはいま、どの政党を支持していますか。

Q1からQ4まではお決まり質問ですが、Q2だけが気になりました。複数の選択肢を並べる自由回答法は、集計を単純化するというメリットがありますが、同時に無理に強いた回答を求めてしまいますし、最初の選択肢が後に影響を及ぼしてしまうという問題点があります。そもそも支持の理由が1つである必要はないので、この質問自体が好ましい者ではありません。特に電話では選択肢を一覧できないため、最初の選択肢を選ぶ可能性が増えてしまいます。「政策の面」を真ん中に置き、「首相が小泉さんだから」という選択肢を先頭に置くことによって、首相は政策面での評価は選択肢を逆に配置した場合よりも小さくなります。また回答者の頭の中に、「小泉は個人人気先行で政策が弱いんだ」と言うイメージが起想されるようになっています。

Q5 アメリカの同時多発テロについておうかがいいたします。アメリカは軍隊をペルシャ湾岸地域などに展開し、報復攻撃を準備しています。あなたは、アメリカのこうした対応を支持しますか。
・支持する 42
・支持しない 45
・その他・答えない 13

Q6 それでは、日本の対応についておうかがいいたします。あなたは、同時多発テロへの対応で、日本がアメリカに協力することに賛成ですか。反対ですか。
・賛成 62
・反対 25
・その他・答えない 13

Q7 アメリカへの協力の一環で、小泉首相は、アメリカの軍隊を後方支援するために、新しい法案をつくり、自衛隊を派遣する方針を打ち出してきました。実施されれば国連の活動を除き、初めての自衛隊の海外派遣になります。あなたは、自衛隊の派遣に賛成ですか。反対ですか。
・賛成 42
・反対 46
・その他・答えない 12

Q8 与党三党は、この法案の中で、自衛隊が武器を使う基準をこれまでより緩めることを盛り込む考えです。あなたは、武器使用の基準を緩めることに賛成ですか。反対ですか。
・賛成 39
・反対 51
・その他・答えない 10

Q5からQ8は、回答は2者択一と問題はありませんが、質問文の長さに驚かされます。公正な調査のための質問の設計にはいくつかの原則があります。簡潔であることと質問文で回答者に影響を与えなことです。しかし、質問中に「アメリカは軍隊をペルシャ湾岸地域などに展開し、報復攻撃を準備しています」、「アメリカへの協力の一環で、小泉首相は、アメリカの軍隊を後方支援するために、新しい法案をつくり、自衛隊を派遣する方針を打ち出してきました。実施されれば国連の活動を除き、初めての自衛隊の海外派遣になります」といった、ほとんど記事に等しい、状況の一面的な解説が入っています。これは質問と言うより社説と同様の意思表示の一過程ととらえることができ、回答者はこのような形で提供された情報から影響を受けた回答をしてしまいます。

Q5では「こうした対応を支持しますか」と問うていますが、「こうした」というあいまいな表現は調査の質問としては避けなければならないものです。引用された文以外のどのような行動が質問に含まれているか回答者にはわからないからです。もし、「アメリカは軍隊をペルシャ湾岸地域などに展開し、報復攻撃を準備しています」を「アメリカは5000人以上の死者を出したテロ組織の再発防止のため、報復攻撃を準備しています」とすると回答は大きく異なってくると思われますが、通常のアンケートではこのような回答に影響を与えるような誘導をしてはならないのです。


Q9 アメリカで起きたようなテロ事件が、日本でも起きる不安を感じますか。感じませんか。
・不安を感じる 81
・感じない 15
・その他・答えない 4
Q10 では、報復行動に日本が参加した場合、テロ事件が日本で起きる危険性が高まると思いますか。そうは思いませんか。
・危険性が高まる 77
・そうは思わない 15
・その他・答えない 8

得たい答えを質問に埋め込むことによって、回答を誘導する手法です。通常のアンケートなら「日本でも起きると思いますか」と問うところです。この質問では「不安」という言葉が重要なキーワードです。「不安」を全面に出されることにより、この質問自身が回答者の頭の中に「不安」を起想させる効果があります。関東大震災で、朝鮮人による反乱と報道して日本国民を「不安」に陥れた朝日新聞。不安を煽る手法は大正時代も現在も変わっていません。

Q11 あなたは、今回のテロ事件についての小泉首相の対応を評価しますか。評価しませんか。
・評価する 55
・評価しない 28
・その他・答えない 17

Q12 あなたは、ふだんの生活で、景気が悪くなったと感じますか。特に感じませんか。
・悪くなった 77
・特に感じない 20
・その他・答えない 3

これも誘導質問です。「景気をどのように感じますか」とし、選択肢に「良くなった」、「悪くなった」、「何も感じない」とするべきですが、質問中に「悪くなった」と埋め込まれているため、すでに悪くなっているという前提が、無意識のうちに回答者に擦り込まれてゆきます。

Q13 あなたは、小泉首相に構造改革をどんどん進めて欲しいと思いますか、それとも、景気や雇用対策を優先して欲しいと思いますか。
・構造改革を進めて欲しい 32
・景気や雇用対策を優先して欲しい 57
・その他・答えない 11

これも良い質問です。擬態語は一般にわかりやすく平易な表現であると当時に子供のような十分な考えが無く行動がなされているという印象を与えることができます。「あたふた」、「どたばた」等と同様に「どんどん」も熟慮無く進む軽率さを暗示します。ここで「どんどん」の代わりに「積極的に」とすると文章から受けるイメージは変わったものとなります。

Q14 「構造改革が進むと自分の生活が苦しくなる」という不安を、どの程度感じていますか。
・大いに感じている 24
・少しは感じている 60
・感じていない 14
・その他・答えない 2

この質問もやはり「不安」と言うキーワードをうまく使っています。質問を読んだだけで、回答者は「不安」に陥れられることでしょう。質問の前提が「「構造改革が進むと自分の生活が苦しくなる」という不安」が世の中にあるという前提になっています。もし回答者が白紙のキャンパスのように真っ白だったら、「ああそうか、構造改革が進むと自分の生活が苦しくなるんだ」と気づくことでしょう。

今回の朝日の質問票を見てわかるとおり、朝日がどれほど奥深い計算をして質問を設計したか、わかっていただけたでしょうか。調査そのものも世論誘導の役割を果たしています。世論とは国民の声ではありません。朝日新聞が作ります。


コラム2、朝日新聞の元気のないアンケート
このスレ常連のみなさんは前回の10月1日のアンケートを覚えているでしょうか。1日の昼にはアンケート内容のすばらしさをこのスレッドで分析し、朝日の世論創出のすばらしさを理解してもらったと思います。2日夜にはニュースで、また、16には読売紙面上でもアンケートの文面にトリックがあることを指摘されてしまいました。そして10月16日、改めて朝日よりアンケートが出ていますので、その内容を考えてみたいと思います。

Q1.小泉首相を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 71
 支持しない 13
 その他・答えない 16

Q2.どういうわけでそう思いますか。
 首相が小泉さん 18,1
 自民党の首相 7,3
 政策の面 26,6
 連立政権のあり方 7,2
 なんとなく 13,1
 その他・答えない 0,0

Q3.小泉内閣の良いところ、悪いところについておうかがいします。
 首相の政治姿勢 35,4
 行政・財政の改革 27,8
 景気・雇用対策 9,35
 外交・防衛政策 6,22
 特にない 20,27
 その他・答えない 3,4

Q4.あなたはいま、どの政党を支持していますか。(省略)

ここまでは前回と同じです。Q1-Q4までのコメントが読みたい方は10月1日の投稿を参照願います。

Q5.アメリカでの同時多発テロについておうかがいいたします。あなたは、同時多発テロへの対応で、日本がアメリカに協力することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 71
 反対 17
 その他・答えない 12

Q6.アメリカは、テロ組織の壊滅を理由に、8日にアフガニスタンへの軍事攻撃を始めました。あなたは、アメリカの軍事行動を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 46
 支持しない 43
 その他・答えない 11

Q7.あなたは、アメリカの軍事攻撃はテロ事件への解決に有効だと思いますか。有効ではないと思いますか。
 有効だ 36
 有効でない 49
 その他・答えない 15

Q8.テロ事件への対応の一環として、テロ対策特別措置法案が国会で審議されています。これは自衛隊がアメリカなどの軍隊を支援するためのものです。あなたは、この法案の内容に関心がありますか。関心はありませんか。
 関心がある 79
 関心はない 16
 その他・答えない 5

Q9.あなたは、テロ対策特別措置法案に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 51
 反対 29
 その他・答えない 20

Q5,Q6は前回と同様の、Q7-Q9は新しい質問です。Q8.から特別措置法の目的が「アメリカなどの軍隊支援」だけを説明し、国連決議に根拠を持っている点、「難民支援」を説明していない点は評価できます。そのほかは非常にシンプルで朝日らしくないと思います。Q7.とQ9.はわずか47文字と28文字。本来のアンケートはこのように単純であるべきですが、前回の朝日の質問とは異なった印象を受けます。

Q10.この法案では、外国の同意があれば、自衛隊はその国の戦闘行為がない地域に行って、活動することができることになります。あなたは、自衛隊の海外での活動を広げることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 49
 反対 40
 その他・答えない 11

前回Q7 アメリカへの協力の一環で、小泉首相は、アメリカの軍隊を後方支援するために、新しい法案をつくり、 自衛隊を派遣する方針を打ち出してきました。実施されれば国連の活動を除き、初めての自衛隊の海外派遣になります。あなたは、自衛隊の派遣に賛成ですか。反対ですか。
・賛成 42
・反対 46
・その他・答えない 12

自衛隊派遣についての前回の質問と今回の質問です。前回は非常に長い質問文と「実施されれば国連の活動を除き、初めての...」と前例の無いことに不安を感じる、前例踏襲しかできない小心な日本人の心理をものの見事についた質問でしたが、今回は質問文からそのようなバイアスが取り除いています。しかし、今回は「海外派遣」という言葉を使わずに、「海外での活動を広げること」という言葉に置き換えています。前者は目的のある行動を、後者は今後続く広がりを起想させるようになっています。

Q11.この法案では、自衛隊員が武器を使う基準をこれまでより緩めることか盛り込まれています。あなたは、武器使用の基準を緩めることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 48
 反対 42
 その他・答えない 10

前回Q8 与党三党は、この法案の中で、自衛隊が武器を使う基準をこれまでより緩めることを盛り込む考えです。あなたは、武器使用の基準を緩めることに賛成ですか。反対ですか。
・賛成 39
・反対 51
・その他・答えない 10

前回は「与党三党」と言う言葉が入っていましたが、今回は取り除かれています。ちなみにこのアンケート実施時点では特措法は可決されていないので、前回と同じ質問文でもおかしくありません。与党三党を強調する必要がそもそもあったかどうかと言う点に気がついてしまったのかもしれません。

Q12.あなたは、今回のテロ事件について小泉首相の対応を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 57
 評価しない 28
 その他答えない 15

ちなみにこのアンケートを受けての16日の朝日の解説記事の一部です。

「武器使用の基準緩和には48%が賛成、42%が反対、と答えた。前回調査では賛成39%、反対51%だった。聞き方が異なり、単純に比較はできないが、基準緩和を容認する空気が広がっているようにみえる。」

聞き方が異なっているのは、前回無理に「与党三党が」と、法案への可否だけではなく、与党による法案であることを強く臭わそうとしたためです。そう言う意味で前回はバイアスが強かったと考えられます。その他の文面は同じです。そう言った意味でどうして今回はそのバイアスを取ってしまったのか不思議です。

社会の流れもありますが、アンケート結果などどうにでもなるものです。なのに今回はどうしたのでしょう。靖国アンケートに前回の自衛隊派遣反対アンケート、回答者の気持ちを読みすかして決まった結論に答えを導く、質問内容の巧みな設計が減ってろい、前回のトリックを止めている点さえ散見されます。

たしかに掲示板で叩かれ、ニュースでなじられ、他紙にも皮肉を言われる朝日の恣意的アンケートですが、そんな朝日のアンケートを心待ちにしている読者も多いのです。「朝日の載ってる」と国会でも騒いでいるファンが居るのです。ありのままを正確に伝えることなど誰も朝日に期待していません。どうか初心に返って、次回は読者を喜ばすアンケートは実施して欲しいと思います。

朝日新聞、2001年10月16日
朝日新聞、2001年10月1日
読売新聞、2001年10月23日


第1ラウンド、靖国参拝
コラム、靖国アンケート
ご存知の方も多いと思いますが、朝日以外の新聞社のアンケートでは参拝容認派が参拝反対派を上回っていたのに、朝日の調査結果だけが参拝反対派が参拝容認派を大きく上回る結果を出していました。

・読売(8月7日朝刊)
小泉首相が、8月15日の終戦記念日に、靖国神社に参拝することについては、賛成ですか、反対ですか。
 賛成 40.0  どちらともいえない 24.4
 反対 34.1  答えない       1.5

・朝日(8月4日朝刊)
小泉首相は、終戦記念日の8月15日に靖国神社へ参拝すると言っています。あなたは、小泉首相が靖国神社参拝に積極的に取り組んで欲しいと思いますか。それとも、慎重にした方がよいと思いますか。
 積極的に取り組んで欲しい  26(41)
 慎重にした方がよい     65(42)
 その他、答えない       9(17)
(注)括弧内は前回

読売の質問に取り立ててコメントすべき内容はありません。簡潔でかつ賛成、反対を問うというこれといった工夫のない質問設計です。

しかし、朝日の質問設計には見習うべき工夫がいくつもあります。まず、「小泉首相は、終戦記念日の8月15日に靖国神社へ参拝すると言っています」、の一言に注目してください。見落としそうになりますが、最後の「言っています」の一言は、やや突き放した表現です。回答者に、小泉首相から距離を置いて考えて欲しいと言うときには、このような一文を入れるべきです。しかし、なによりもこの質問のすばらしい点は、賛成・反対というふつうの質問で行う選択肢を入れていないことです。「積極的に取り組んで欲しいと思いますか。それとも、慎重にした方がよいと思いますか」。質問票設計では通常選択肢は回答者から見て明確で、迷いが生じる、あるいは回答者によって解釈が異なる内容は避けなくてはなりません。たかだか参拝に積極的に取り組むとは、どのような参拝をすることでしょうか?一部右翼がやったように特攻服を着て街宣車で駆けつけるような姿が私には起想されます。また、参拝を慎重にした方がよいとはどのようなことでしょうか。選択肢が「止めた方がよい」となっていないことから、慎重な配慮を行いつつも、実施して良いように思えます。明確な意志表示が苦手で、中庸の選択肢を選びたがる事なかれ主義の日本人は、「積極的」を避けて「慎重に」を選んだことでしょう。こうして、多くの回答者の「参拝しても良いけど、積極的にって言うほどでもないな」と考えた読者の回答はすべて、慎重となり、朝日新聞の紙面では「65%が靖国参拝に反対」となったわけです。

ここまで読んで、「朝日新聞ってきたねーな。ほとんど捏造じゃん」と思ったあなた、反省してください。世論調査とは新聞社が自社の主義主張を正当化に利用するツールなのですよ。質問票に工夫をして世論を作ることは法律で禁じられているわけでもありません。

新聞社に与えられた情報は疑問を持たずに信じましょう。思考を止めて、疑問を持たないで信じることが読者のつとめなのですから。

朝日新聞、2001年8月4日
読売新聞、2001年8月7日